12月13日6時起床。お灸が効いたのか、マメの水は引いていたが、左足首の捻挫がまた痛む。大丈夫かなあ。
谷の日陰側のフムデは、さすがに寒く、そこら中に霜が降りている。顔を洗ってから台所に行き、竈にあたらせてもらいつつ、奥さんがチベッタン・ブレッドを揚げるのを見学。揚げたてのブレッド(給食の揚げパンそっくり)にジャムをつけて食べる。
8時に出発。すぐ隣がフムデの飛行場(ロッジの裏が滑走路)だ。行く手の山がアンナプルナⅢに変わる。
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1時間ほどでアンナプルナⅢの下の、山の中腹に白いチョルテン(塔)が見えてくる。あそこがミラレパ洞窟らしい。あんなところまで登るのかと一瞬気持ちが萎える(実は白いチョルテンはまだ中間地点で、洞窟はずっと上の、山の頂上にあった)。
9時30分、ブラカのホテル・アイスレーク着。部屋に荷物を置き、ロンリー・プラネットのガイドブックを読み直すと、ミラレパ洞窟は4320mでブラカと高度差800mもあり、往復4、5時間はかかると書いてある。地図で見ると近いので、勝手に3時間くらいで往復できると思い込んでいたのだ(間抜けめ)、がっくり。今の足の状態では登りに3時間はたっぷりかかるだろう。逡巡していると、テジくんに“本当に行きますか?”と念を押され、やけになって“行く”と答える。10時30分にダルバートで腹ごしらえ。ロッジのおじさんが出してくれた菜っ葉の漬け物が、ほどよく発酵し、好物のすぐきのような味になっていて美味しかった。
11時、念のためにヘッドランプを持ってミラレパ洞窟へ出発。橋を南側に渡り、放牧場を抜けると山のとりつきに着き、そこから急な登りが始まる。足下は乾いた砂で滑りやすく、切り立った崖の上を通ったりするので、とっても怖く、早くも後悔が頭をよぎる。
約1時間で、山の中腹に見えた白いチョルテンに着き、ぬか喜び。ここでまだ半分だった。
さらに登り続け、50分で小さなゴンパに着く。ここに安置されているミラレパ像は、ロンリー・プラネットによれば2004年にヘリコプターで空から運ばれたもので、向かって左に、猟師のケラ・ゴンポ・ドルジェと犬、右に鹿の像がある。伝説によれば、ミラレパ(1052-1135)は、鹿を追って洞窟に迷い込んできた猟師を諭して殺生をやめさせ、弟子にしたという。